【コラム】災害から文化遺産を守る~文化財防災の取り組みと課題~

はじめに

文化財を災害から守ることは、私たちの歴史と文化を未来に伝えるために欠かせない取り組みです。
本記事では、文化財の災害リスクと被害状況、防災対策の現状と課題、地域住民と連携した保全活動、災害からの文化財レスキューの事例について解説します。

文化財を守ることは、地域のアイデンティティを守ることにつながります。
一人ひとりが文化財防災の重要性を認識し、行動することが求められています。

文化財の災害リスクと被害状況

文化財は、その材質や構造、立地条件などによって、様々な災害リスクを抱えています。

地震による被害

阪神・淡路大震災では、250件を超える国宝・重要文化財、文化施設が被害を受けました。

熊本地震では、熊本城の石垣が崩れ、大天守の瓦の崩落など、甚大な被害が発生しました。

火災による被害

2019年の首里城火災では、正殿など主要建物が全焼し、貴重な文化遺産が失われました。

水害による被害

2018年7月の豪雨(平成30年7月豪雨)は「平成最悪の水害」と言われるほどで、西日本を中心に大きな被害を受けました。

岡山県、広島県、愛媛県などでは多数の文化財が浸水、倒壊、埋没などの被害を受けています。

土砂災害による被害

東日本大震災の半年後、2011年に起きた台風による紀伊半島大水害では、熊野古道の一部が土砂に埋もれ、参詣道が寸断されました。

文化財の防災対策の現状と課題

文化財の防災対策は、近年大きく進展していますが、課題も残されています。

ハード面の対策

阪神・淡路大震災をきっかけに文化財の耐震政策が策定され、東日本大震災を受けてさらに改訂されました。

しかし、耐震補強済みの文化財が2024年能登半島地震で倒壊した事例もあり、さらなる改訂が検討されています。

ソフト面の対策

文化財防災センターでは、「文化財防災マニュアル」を作成し、文化財の防災対策の基本的な考え方を示しています。

地域住民と連携した文化財の保全活動

文化財は、地域の宝です。
地域住民と連携した保全活動が重要となります。

文化財防火デーの取り組み

昭和24年1月26日、現存する世界最古の木造建造物である法隆寺(奈良県斑鳩町)の金堂が炎上し、壁画が焼損したことに基づいています。

全国各地で消防訓練や防火講習会などが開催されます。
地域住民も参加することで、文化財防火への理解を深めることができます。

文化財の防災マップづくり

文化財への理解を深めるとともに、地域の防災力向上にもつながります。

災害からの文化財レスキューの事例

文化財レスキュー活動は、阪神・淡路大震災がきっかけで始まりました。

東日本大震災での文化財レスキュー

熊本地震での文化財レスキュー

文化庁や熊本県、大学、博物館などが連携し、被災文化財の調査や救出、応急処置などを行いました。

平成30年7月豪雨での文化財レスキュー

過去の教訓を活かし、県や市、各施設が独自に別の施設と結んでいた文化財保全協定などにより、レスキュー活動が行われました。

まとめ

文化財の防災対策には、ハード面とソフト面の両面からのアプローチが必要です。
また、地域住民と連携した保全活動も欠かせません。

災害が発生した際には、迅速な文化財レスキューが求められます。
平時からの備えと、関係機関の連携が重要となります。

文化財防災は、一朝一夕には実現できません。
長期的な視点に立ち、一歩一歩着実に取り組みを進めていくことが大切です。

私たち一人ひとりが、文化財防災の重要性を認識し、できることから行動していきましょう。
未来へ文化財を継承していくことは、私たちの責務なのです。

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