はじめに
自然災害は、誰にでも平等に襲いかかるものですが、その影響は男女で大きく異なります。
特に女性は、災害時に様々な困難に直面することが多いと指摘されています。
本記事では、災害が女性に与える影響や、避難所における女性の安全とプライバシーの確保、女性リーダーの育成と意思決定への参画、男女共同参画の視点に立った防災・減災の取り組みについて解説します。
ジェンダー平等は、防災・減災の基盤です。
女性の視点を取り入れることで、より効果的な防災・減災対策を実現することができるでしょう。
災害が女性に与える影響
災害時には、女性は様々な困難に直面します。
その主な影響は以下の通りです。
健康面での影響
女性は、生理や妊娠・出産など、特有の健康上の問題を抱えています。
災害時には、衛生環境の悪化により、これらの問題がより深刻化する恐れがあります。
例えば、生理用品の不足や、プライバシーの確保が難しいことから、生理の管理に苦労する女性が多いと報告されています。
また、妊婦は、ストレスや栄養不足により、流産や早産のリスクが高まります。
家事・育児負担の増大
災害時には、水や食料の確保、片付けや清掃など、家事の負担が増大します。
特に、子育て中の女性は、家事と育児の両立に苦労することが多いと指摘されています。
また、保育所や学校が休校になることで、子どもの世話に追われる女性も少なくありません。
子どもの世話をしなければならないため、仕事を休まざるを得ず、経済的にも厳しい状況に追い込まれます。
経済的な影響
女性は、男性に比べ非正規雇用や低賃金の仕事に就いている割合が高いため、災害時には経済的な打撃を受けやすくなっています。
仕事を失ったり、収入が減ったりすることで、生活再建が困難になるケースもあります。
暴力の増加
災害時には、ストレスや不安から、家庭内暴力やセクシャルハラスメントが増加する傾向にあるようです。
参考：内閣府防災情報「多様な被災者への配慮とニーズ対応」
避難所の過密状態やプライバシーの欠如は、女性に対する暴力を助長する要因となります。
避難所における女性の安全とプライバシーの確保
避難所は、災害時の女性にとって、特に過ごしにくい場所となることがあります。
女性の安全とプライバシーを確保するためには、以下のような取り組みが必要です。
女性専用スペースの設置
着替えや授乳、生理用品の交換など、女性が安心してプライバシーを確保できるよう、女性専用スペースを設置することが重要です。
仕切りを設けたり、間仕切りカーテンを活用したりするなど、工夫が求められます。
また、子どもや女性が安心して使えるようにするためには、トイレや更衣室、入浴設備は男女別が望ましいようです。
参考：札幌市市民文化局 男女共同参画室「女性の視点を取り入れた避難場所運営の取組について」
昨今はジェンダーレスの流れで、何かと男女共用設備が増えていますが、女性が身を守るためには女性専用設備は減らすべきではありません。
ベストなのは男性用・女性用・共用と3種類を用意することではないでしょうか。
女性用物資の充実
生理用品や下着、育児用品など、女性に特有の物資を十分に確保することが大切です。
避難所の運営に女性の意見を取り入れ、ニーズに合った物資を備蓄しておくことが求められます。
女性スタッフの配置
避難所の運営に女性スタッフを配置することで、女性の抱える問題に気づきやすくなります。
また、女性が相談しやすい環境づくりにもつながります。
家族のいる女性ならまだしも、単身の女性は相談できる人もおらず、一人で悩んでいるかもしれません。
防犯対策の強化
避難所内の巡回警備を強化したり、防犯ブザーを配布したりするなど、女性に対する暴力を防止するための対策が必要です。
また、暴力被害に遭った女性が相談できる窓口を設置することも重要です。
女性リーダーの育成と意思決定への参画
災害対応の意思決定の場に女性の声を反映させるためには、女性リーダーの育成と参画が欠かせません。
女性リーダーの育成
防災・減災の分野で活躍する女性リーダーを育成するためには、教育や研修の機会を充実させることが重要です。
また、ロールモデルとなる女性リーダーを増やすことで、次世代の女性の参画を促すことができます。
意思決定への参画
防災会議や避難所運営会議など、意思決定の場に女性が参画することが大切です。
女性の視点を取り入れることで、多様なニーズに配慮した防災・減災対策を実現することができます。
クオータ制の導入
政策・方針決定過程への女性の参画を促進するために、クオータ制の導入が有効です。
一定の割合を女性に割り当てることで、女性の意見が反映されやすくなります。
男女共同参画の視点に立った防災・減災の取り組み
防災・減災の取り組みに男女共同参画の視点を取り入れることで、より効果的な対策を実現することができます。
ジェンダー統計の整備
災害が男女に与える影響の違いを把握するためには、ジェンダー統計の整備が不可欠です。
被害状況や避難者数、支援ニーズなどを男女別に集計・分析することが求められます。
男女共同参画の視点に立った防災計画の策定
地域防災計画や避難所運営マニュアルなどに、男女共同参画の視点を盛り込むことが重要です。
女性の視点を取り入れることで、多様なニーズに配慮した防災・減災対策を実現することができます。
男女共同参画の視点に立った訓練の実施
避難訓練や防災訓練に、男女共同参画の視点を取り入れることが大切です。
女性の参加を促すとともに、女性の視点を反映させることで、より実効性の高い訓練を実施することができます。
まとめ：ジェンダー平等は防災・減災の基盤
災害は、女性に特有の影響を与えます。避難所における女性の安全とプライバシーの確保、女性リーダーの育成と意思決定への参画、男女共同参画の視点に立った防災・減災の取り組みが求められています。
ジェンダー平等は、防災・減災の基盤です。
女性の視点を取り入れることで、より効果的な防災・減災対策を実現することができるでしょう。
災害に強い社会を築くためには、男女が協力し合い、それぞれの強みを生かすことが大切です。
一人ひとりがジェンダー平等の意識を持ち、行動することが求められています。
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