はじめに
近年、自然災害が頻発し、防災意識が高まる中、防災用品や技術も日々進化しています。
IoTを活用した防災グッズの開発や、軽量化・コンパクト化・多機能化といった防災用品のアップデート、美味しさと栄養面を改善した非常食、VRやARを活用した防災教育ツールなど、様々なトレンドが見られます。
本記事では、最新の防災グッズと技術トレンドについて詳しく解説します。
日頃から防災意識を高め、いざという時に役立つ情報を身につけましょう。
IoTを活用した防災技術の開発動向
IoT(Internet of Things)技術の発展により、防災対策にもスマート化の波が押し寄せています。
例えば、2023年2月には、パナソニックが気象警報を受信すると停電に備えて庫内温度を下げる「停電そなえモード」を搭載した冷蔵庫を発売。
スマートフォンと連動し、設定した居住地域に暴風や暴風雪の気象警報が出ると、停電に備えて自動的に庫内の温度を数度下げ、長く保冷できるように調整してくれます。
シャープもエアコンなどの家電についたスピーカーから防災情報を発信する実証実験を開始しています。
他にも、家が自動で気象警報と連動して台風などの予報を通知したり、シャッターを閉めて蓄電池への充電を始めたりしてくれる機能が実際に搭載されはじめています。
出典:日本経済新聞「IoT家電で防災、提案続々」
Panasonic Homes「災害に備えるIoT技術」
防災用品のアップデート:軽量化、コンパクト化、多機能化
防災用品は、いざという時に持ち出せるよう、軽量化・コンパクト化が進んでいます。
例えば、アルミ蒸着シートを使用した超軽量の寝袋や、手のひらサイズに収納できるコンパクトな防災ヘルメットなどが登場。
また、1つの防災グッズに複数の機能を搭載する多機能化も進んでいます。
ラジオ、懐中電灯、モバイルバッテリー、ソーラーパネルが一体となった多機能ラジオライトや、はさみ、ドライバー、栓抜きなどが一体化したアウトドアでも使えるコンパクトなマルチツールなどが人気です。
他にも、警視庁がX(Twitter)に投稿した「自分で作る防災ボトル」も話題になりました。
災害は、いつどこで起こるかわかりません。そんな災害のときのために、私は外出する際、各種グッズをウォーターボトルに入れた「防災ボトル」を持ち歩いています。コンパクトに収納できるので、カバンやリュックサックに入れても気にならず、防災力を高めることができます。ぜひ、ご参考に! pic.twitter.com/YbGSGVe5iB— 警視庁警備部災害対策課 (@MPD_bousai) April 10, 2022
作り方は簡単。
100均でも売っているウォーターボトルの中に、ホイッスルやビニール袋、常備薬、非常食、ばんそうこう、現金など最低限必要なものを詰めて持ち歩くだけ。
詰めてしまえば、全部まとめても500mlのボトルサイズなので、持ち歩くのもそう苦ではありません。
災害は家にいる時に発生するとは限りません。
災害でなくても、故障や大雪などで電車内に長時間閉じ込められることもありえますよね。
外出時に災害が発生した時にも備えが必要です。
非常食の進化:美味しさと栄養面の改善
非常食は、長期保存が可能な反面、味や食感が犠牲になりがちでした。
しかし近年は、美味しさと栄養面の改善に力を入れたものが増えています。
レトルト食品や缶詰の製造技術が向上し、ご当地グルメを再現した非常食や、ビタミン・ミネラルを強化した栄養バランスの良い非常食など、おいしく食べられる非常食が登場しています。
また、アレルギー対応食品や、長期保存できる乳児用缶入りミルクなど、多様なニーズに対応した非常食の開発も進んでいます。
イスラム圏の人々も問題なく食べられる食材のみを使っていることを表すハラール認証を取得した非常食なども登場し、日本人以外の人が被災した場合の準備も進みつつあります。
日頃から非常食を食べながら備蓄を循環させる「ローリングストック法」の浸透により、家庭での備蓄も進んでいるようです。
農林水産省が公開している災害時に備えた食品ストックガイドでは、一般向けに加えて、乳幼児、高齢者、慢性疾患・食物アレルギーの方などに向けた「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」も用意されています。
家族に要配慮者がいる場合は、一度目を通しておくとよいでしょう。
出典:農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」
VRやARを活用した防災教育ツールの可能性
VR(仮想現実)やAR(拡張現実)技術を活用した、臨場感のある防災教育ツールの開発が進んでいます。
VRで災害の疑似体験をしたり、ARで避難経路を可視化したりすることで、より実践的な防災訓練が可能になります。
例えば、東京海上日動火災保険が開発した「災害体験AR」では、スマートフォンやタブレットを使って自宅で水害や土砂災害の疑似体験ができます。
GPSで現在地を測定し、その地点における災害をシミュレーションできるので、ご家庭で一度体験してみるといいかもしれません。
視覚的に体験できるので、まだ災害を経験したことのない子どもには学びが多いと思います。
https://bousai-ar.tokiomarine-nichido.co.jp/
また、三重県や岐阜県の特別支援学校では、VRを活用した防災トレーニングの有効性を検証する取り組みが行われています。
参考:PR TIMES「自治体初、三重県立特別支援学校でVRトレーニングの有効性を検証!」
パナソニック教育財団「特別支援学校における VR と AR の有用性」
今後、学校教育やビジネスの場でのVR/AR防災教育ツールの活用が期待されます。
まとめ:進化する防災用品と技術に注目
IoTを活用した防災グッズ、軽量化・コンパクト化・多機能化した防災用品、美味しく栄養価の高い非常食、VR/ARを活用した防災教育ツールなど、防災用品と技術は日々進化しています。
自然災害が多発する昨今、日頃から防災意識を高め、いざという時に役立つ防災用品を備えておくことが重要です。
また、最新の防災技術を活用することで、より実践的な防災対策が可能になります。
防災は一人一人の心構えから始まります。
進化する防災用品と技術を上手に活用しながら、日頃から防災力を高めていきましょう。
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