はじめに
近年、日本各地で地震や豪雨、台風などの自然災害が頻発しています。
災害はいつ起こるか分からないため、日頃から備えておくことが大切です。
特に、食料の確保は生命に直結する重要な課題です。
本記事では、非常食の選び方や備蓄のポイント、賞味期限管理の方法などについて詳しく解説します。
いざというときに慌てないよう、普段から非常食について理解を深め、備えを万全にしておきましょう。
非常食の必要性と備蓄量の目安
災害時には、ライフラインの寸断により食料の調達が困難になります。
スーパーやコンビニの商品は瞬く間に売り切れ、行政からの支援物資が届くまでには数日かかることもあります。
そのため、最低でも3日分、できれば1週間分の食料を備蓄しておくことが推奨されています。
家族構成や年齢、健康状態に応じて、必要な量を算出しましょう。
農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド」では、大人2人の1週間分の備蓄量の目安を以下のように示しています。
・水:2L×6本×4箱(※飲用と調理で、1人1日約3L使用を想定)
・カセットコンロ:カセットボンベ12本(※1人あたり1週間で6本程度使う)
・米:2kg×2袋(※1人1食75g程度)
・カップ麺類:6個
・乾麺(うどん、そば、そうめん、パスタなど):そうめん300g×2袋、パスタ600g×2袋
・パックごはん:6個
・その他主食になるもの:LL牛乳、シリアルなど
・レトルト食品:牛丼の素、カレーなど18個、パスタソース6個
・肉や魚の缶詰:好みのもの18缶
・日持ちする野菜:玉ねぎ、じゃがいもなど
・梅干し、のり、乾燥わかめなど
・野菜ジュース、果汁ジュースなど
・調味料:砂糖、塩、しょうゆ、めんつゆなど
・インスタント味噌汁、即席スープなど
・チョコレート、ビスケットなどお菓子類
出典:農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」
非常食の選び方のポイント
非常食を選ぶ際は、以下のポイントに注目しましょう。
長期保存が可能なもの
災害はいつ起こるか分からないため、賞味期限が長い食品を選ぶことが重要です。
缶詰や乾物、レトルト食品など、常温で1年以上保存できるものがおすすめです。
特に、缶詰は最長で5年ほど保存可能で、そのまま食べられるものが多いため、非常時に重宝します。
乾物は軽量でかさばらず、長期保存に適しています。
レトルト食品は、湯煎や電子レンジで簡単に調理でき、バリエーション豊富な商品が揃っています。
調理が簡単なもの
ライフラインが止まった状況では、火を使った調理が難しくなります。
お湯を注ぐだけ、または常温のまま食べられる食品を選びましょう。
アルファ米やフリーズドライ食品は、水や湯を注ぐだけで食べられるため、調理の手間が省けます。
缶詰やレトルト食品の中にも、そのまま食べられるものが多数あります。
非常時は、できるだけ簡単に調理できるものを選ぶことが大切です。
電気やガスが使えない状況でも、最低限の調理で食事ができるよう工夫しましょう。
栄養バランスの取れたもの
炭水化物中心の食事では、栄養が偏ってしまいます。
タンパク質やビタミン、ミネラルを含む食品を組み合わせることが大切です。
主食となる米やパン、麺類に加えて、肉・魚・大豆などのタンパク質源、野菜や果物などのビタミン・ミネラル源を備蓄しましょう。
缶詰やレトルト食品、乾物など、バランスよく選ぶことが重要です。
また、カロリーメイトなどの栄養補助食品を取り入れるのもおすすめです。
1食分の栄養がコンパクトにまとまっているため、非常時の栄養補給に役立ちます。
食べ慣れたもの
非常時のストレスを和らげるためにも、普段から食べ慣れたものを備蓄するのがおすすめです。
好みの味付けや食感のものを選びましょう。
普段の食事で利用している食品を中心に備蓄することで、いざというときも違和感なく食べられます。
特に、子どもや高齢者は食べ慣れないものを避ける傾向にあるため、家族の好みを考慮して選ぶことが大切です。
また、非常時は不安やストレスから食欲が落ちることもあります。
そんなときは、おやつや甘味料が心の支えになります。
チョコレートやクッキーなど、好きなお菓子も備蓄しておくと良いでしょう。
代表的な非常食の種類と特徴
主な非常食の種類と特徴を以下にまとめました。
缶詰
缶詰は、長期保存が可能で、そのまま食べられるのが大きな利点です。
肉や魚、野菜など様々な種類があり、栄養バランスを整えやすいです。
ツナ缶やサバ缶などのシーフード缶詰、焼き鳥缶やビーフシチュー缶などの肉類缶詰、コーン缶やトマト缶などの野菜缶詰など、バリエーション豊富に揃っています。
缶切りがなくても開けられるプルトップ式のものを選ぶと便利です。
ただし、缶詰は重量があるため、持ち運びには不向きです。
備蓄する際は、保管場所や移動手段を考慮する必要があります。
レトルト食品
レトルト食品は、湯煎や電子レンジで簡単に調理できます。
カレーやシチュー、パスタソースなど、バリエーション豊富な商品が揃っています]。
常温で長期保存が可能で、ボイル袋のまま湯煎するだけで食べられるため、非常に便利です。
ごはんやパスタと組み合わせれば、簡単に主食と主菜が揃います。
和風や洋風、エスニック風など、様々な味付けのレトルト食品があるので、好みに合わせて選びましょう。
ただし、塩分が多めなので、高血圧の方は注意が必要です。
乾物・フリーズドライ食品
乾物やフリーズドライ食品は、軽量でかさばらず、長期保存が可能です。
お湯を注ぐだけで食べられるものが多く、調理の手間が省けます。
乾物は、わかめやひじき、切り干し大根など、様々な種類があります。
ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で、非常時の栄養補給に役立ちます。
戻し時間が必要なものもあるので、事前に確認しておきましょう。
フリーズドライ食品は、味噌汁やスープ、雑炊など、お湯を注ぐだけで手軽に食べられます。
具材の食感や風味が生きているのが特徴です。
ただし、保存期間が比較的短いので、定期的な入れ替えが必要です。
アルファ米・パン
アルファ米は、水や湯を注ぐだけで炊きたてのご飯が食べられます。
白米だけでなく、赤飯や五目ごはんなど、様々な種類があります。
5年以上の長期保存が可能で、非常食の定番です。
非常食用のパンは、そのまま食べられるタイプが主流です。
缶入りのパンや、ロングライフパンなどがあります。
3年以上の長期保存ができ、軽量でかさばらないため、持ち出し用の非常食に適しています。
主食は、エネルギー源として重要な役割を果たします。
アルファ米とパンを組み合わせて備蓄すると、飽きずに食事ができるでしょう。
飲料水
水は生命維持に欠かせません。
ミネラルウォーターや長期保存水を備蓄しましょう。
上で述べたように、1人1日3リットルが目安です。
軟水より硬水の方が保存に適しているため、ミネラルウォーターを選ぶ際は硬度を確認すると良いでしょう。
長期保存水は、5年以上の保存が可能です。
ペットボトルは、落下や衝撃で破損する恐れがあります。
段ボールやプラスチックケースに入れて保管することをおすすめします。
非常食の賞味期限管理と備蓄のコツ
非常食は、賞味期限切れに注意が必要です。
定期的にチェックし、期限が近づいたものから順に使うようにしましょう。
以下に、主な非常食の賞味期限の目安を示します。
・缶詰:2~5年
・レトルト食品:1~2年
・乾物:6ヶ月~1年
・フリーズドライ食品:1~2年
・アルファ米:5年
・長期保存パン:3~5年
・長期保存水:5年
備蓄した非常食は、家族全員が取り出しやすい場所に保管します。
リビングや寝室のクローゼットなど、すぐに手が届く場所がおすすめです。
水は重量があるため、分散して保管するのがコツです。
キッチンや洗面所、トイレなど、利用しやすい場所に小分けして置いておきましょう。
また、ローリングストック法を活用すると、備蓄食品の無駄を減らせます。
日常的に古いものから使い、減った分を買い足す方法です。
備蓄を習慣化することで、いざというときに慌てずに済みます。
ただし、ローリングストックは管理が難しいというデメリットもあります。
備蓄食品専用の棚を設けたり、リストを作成したりするなど、工夫が必要です。
無理のない範囲で取り入れていきましょう。
まとめ
非常食は、災害時の生命線となる大切な備えです。
長期保存が可能で、栄養バランスの取れたものを選び、定期的に賞味期限をチェックしましょう。
ローリングストック法を取り入れ、備蓄を日常の一部にすることで、いざというときに慌てずに対応できます。
普段の買い物の際に、少し多めに購入するだけでも備蓄につながります。
また、非常食は食事としてだけでなく、心の支えにもなります。
家族の好みを考慮し、楽しみながら備蓄できるよう工夫しましょう。
災害はいつ起こるか分かりません。
しかし、日頃から非常食について理解を深め、万全の備えをしておくことで、その影響を最小限に抑えることができるはずです。
一人ひとりができることから始めて、災害に負けない強い地域社会を作っていきましょう。
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